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音楽のまとめ

Eye of the Storm を引っ提げ、世界を相手に勝負する ONE OK ROCK

『Eye of the Storm』をリリース

GQ JAPAN (ジーキュージャパン) 2019年04月号

 

2月13日リリースのアルバム『Eye of the Storm』で、現在の世界の音楽シーンの流れに沿ったサウンドを展開した ONE OK ROCK。

 

では、世界でどんな音楽が求められているかといえば、圧倒的な歌唱力HIP HOPRAPEDM、さらにそれらのジャンルをミックスした POP サウンド。

 

残念ながらそこに ROCK の文字はなく、あるとすればミックスしたジャンルのひとつとしてくらい。 

 

2018年の『Billboard 200』年間チャートを見渡して、100位以内で ROCK の要素を感じるバンドの作品は以下の6作品ほどです。

 

11位 Imagine Dragons『Evolve

57位 Panic! At The Disco『PRAY FOR THE WICKED

71位 Imagine Dragons『Night Visions

72位 5 Seconds Of Summer『YOUNGBLOOD

77位 twenty one pilots『Blurryface

81位 Five Finger Death Punch『A Decade of Destruction

 

ROCK ファンからすればとても残念ですが、これが現実で、聴いてみると音数が減らされ、低音重視の傾向、ギター・ロックなバンドサウンドなどはほとんどありません。

 

そして、『Eye of the Storm』には、人気バンドにはつきものの賛否両論が巻き起こっていますが、世界を相手に勝負するため、まず同じ土俵に立つ意味では必然のサウンドです。

  

海外展開の途上

海外レーベルに所属 

2015年に「Warner Bros. Records(ワーナー・ブラザース・レコード)」と契約。

 

2016年9月11日からはその傘下となるレーベル「Fueled By Ramen(フュエルド・バイ・ラーメン)」に移籍する形で海外での展開を加速させる ONE OK ROCK。

 

「Fueled By Ramen」は、ParamorePanic!At The Discotwenty one pilots らエモ・パンク系のバンドが多く所属するレーベル。

 

上記のチャートには同レーベルかつ同ジャンルのバンド、Panic!At The Discotwenty one pilots がランクイン、つまり売れるサウンド作りを知っている会社と考えれば、彼らが所属するレーベルとしてはベストと言えます。

 

海外ではスタンダードな楽曲ごとの分業

日本でも、2018年の音楽配信の売り上げは、ストリーミングがダウンロードを上回る中、ストリーミングサービスでどれだけ再生されるかが重要視されます。

 

2018年、音楽ストリーミングサービスのひとつ Spotify で ONE OK ROCK は、日本国内で最も再生されたアーティストで、BTS(防弾少年団)に次ぐ2位、海外で最も再生された国内アーティストの1位になっています。

 

そんなストリーミングサービスにはプレイリストがあり、人気のプレイリスト入りすることが再生回数の伸びにつながっています。

 

プレイリスト入りした楽曲経由で他の作品を聴くきっけけにもなるため、個々の楽曲のクオリティの高さが求められることになります。

 

 

今作は、「Change」などをプロデュースした Pete Nappi をはじめ、楽曲ごとにさまざまなプロデューサー、共同ソングライター、ミキシングエンジニアを迎えて制作。

 

たとえば、こんなプロデューサーが参加しています。

 

CJ Baran(Panic! At The Disco、Simple Plan など)

Colin Brittain(Dashboard Confessional、5 Seconds of Summer など)

Dan Lancaster(Blink 182、5 Seconds Of Summer、Bring Me The Horizon、Avril Lavigne など)

Mark Crew( Bastille など)

 

楽器陣もボーカル同様全面に押し出した前々作『35xxxv』、ほとんどの楽曲がセルフプロデュースだった前作『AMBITIONS』からも『Eye of the Storm』は、さらに海外目線かつ世界基準の作品だと言えます。

 

さいごに

世界を相手に勝負するONE OK ROCK を考えるとき、「ガラパゴス化」してしまった携帯電話やパソコン市場と世界に飛び出すサッカー選手・野球選手を連想します。

 

前者は、日本でトップを取ることは容易でも、日本市場だけを見ていると世界市場では戦えないし、後者の日本で発揮できた実力を世界で試してみたいという意気込みのようなものは、共通項なんだろうなというイメージです。

 

『Eye of the Storm』は、それぞれの楽曲をひとつのアルバムとしてまとまりのある作品に仕上げているところに脱帽しました。