聴きたい!80年代のプログレハードおすすめ名盤アルバム10選
プログレッシブ・ロックからの派生「プログレハード」
60年代後半にイギリスで誕生し、70年代に全盛期を迎えた音楽ジャンルのひとつ、プログレッシブ・ロック(プログレ)。
Progressive=進歩的・革新的・前衛的、等の意味を持ち、特徴としては
物語性のあるアルバムコンセプトと、それに伴う長時間の楽曲。
演奏テクニック重視で、変拍子や転調の多用など複雑に構成された楽曲。
クラシックやジャズ、とロックの融合。 などが挙げられるかと思います。
80年代に入り、いかにしてラジオやMTVで楽曲を流してもらうかがセールスに直結するという流れの中、プログレッシブ・ロックにもポップさや、1曲の長さを3~4分にまとめるコンパクトさが求められるようになりました。
そのため、純粋なファンからは、産業ロックや商業ロック、はたまたスタジアム・ロックなどと称されることもありましたが、実際セールス的に成功したバンドは少なくありませんでした。
その中から10組のバンドと代表的なアルバムを紹介してみたいと思います。
ASIA『ASIA』
82年リリース、ASIAの 1st アルバム『ASIA』。
ジョン・ウェットン(キング・クリムゾン)、スティーヴ・ハウ(イエス)、ジェフリー・ダウンズ( イエス)、カール・パーマー(エマーソン・レイク&パーマー)というプログレ四天王と呼ばれるバンドで活動していたメンバーで構成されたスーパーバンドとして注目されました。
それぞれのメンバーの演奏技術や、コンパクトな中にもドラマティックな展開のある楽曲群が飽きさせない内容になっている作品です。
翌年の83年には 2nd アルバム『ALPHA』をリリースしましたが、ジョン・ウェットンとジェフリー・ダウンズ主導で、よりポップになりすぎたサウンドは 1st ほどのセールスには至らず、スティーヴ・ハウは 3rd アルバムを前に脱退。名盤と呼べる作品は 1st くらいになってしまいました。
TOTO『Toto IV』
1976年にスタジオミュージシャンをしていたデヴィッド・ペイチとジェフ・ポーカロ 、スティーヴ・ルカサーを中心に結成されたTOTO。
78年のセルフタイトルアルバム『Toto』から『Hydra』、『Turn Back 』とリリースを重ね、AOR寄りなサウンドで最も好セールスを上げた4thアルバム『Toto IV』。代表曲「Africa」がラストに収録されています。
ハード・ロック寄りなサウンドが好みのファンは、2nd アルバム『Hydra』を彼らのベスト盤に推すのかもしれません。
JOUNEY『Escape』
1973年に、ニール・ショーン(ギター)を中心に結成されたJOUNEYが81年に放った 7th アルバム『Escape』。
スティーヴ・ペリーの高音ボーカルや、ニール・ショーンのギタープレイも堪能できる本作は、「Don't Stop Believin'」や「Open Arms」のヒット曲を生み出しました。
それぞれ、「Don't Stop Believin'」アメリカのテレビドラマGLEEでキャストに歌われ、「Open Arms」はマライア・キャリーにカバーされたりしています。
BOSTON『Third Stage』
マサチューセッツ工科大学出身のフロントマン、トム・シュルツを中心にしたバンドBOSTONが86年にリリースした8年ぶりとなる 3rd アルバム『Third Stage』。
1976年の 1st アルバム『Boston』からヒットし、当時1stアルバムの売上枚数最高記録を更新したものの、トム・シュルツが完璧主義者なため、作品リリースが非常にスローペースだったりします。事実、本作は80年代に発表された唯一の作品になりました。
同アルバムからの1stシングル「Amanda」は、キャッチーかつメロディアスな楽曲でチャート首位を獲得しています。
STYX『Paradise Theater』
70年代初頭の大作主義のプログレッシブロックバンドから徐々に脱却。
1979年の 9th アルバム『Cornerstone』からのシングル「Babe」が全米1位を獲得した後の10thアルバム『Paradise Theater』。初のアルバムチャート首位に輝いた作品でもあります。
バンド内にもポップ路線かハードロック路線かで溝ができ、前者のデニス・デ・ヤングが一時的にバンドを解雇されたり、1983年に後者のトミー・ショウが脱退するなど、一枚岩で活動を続けるのは難しかったようです。
YES『90125』
70年代前半に、『Fragile』、『Close to the Edge』などの名作を生み出した彼らが再始動し、ギターに南アフリカ共和国出身のトレヴァー・ラビンを迎え、シンプルかつポップな作品に徹して商業的成功を収めた83年の作品。
アルバムのオープニングを飾る「Owner Of A Lonely Heart」はシングルカットされ全米1位を獲得しています。
GENESIS『Invisible Touch』
YES同様、70年代のピーター・ガブリエル中心だったころの大作主義から一転、ドラマーとして参加していたフィル・コリンズが中心となった80年代にポップ化して成功したGENESIS。
このころ、フィル・コリンズはソロとして、マイク・ラザフォードは自身のもうひとつのバンド、マイク&ザ・メカニックスで活躍していました。
こちらもアルバムのオープニングを飾る「Invisible Touch」がシングルカットされ全米1位を獲得しています。
ラストナンバーのインスト曲「The Brazilian」に、かつてのGENESISの名残りのようなものを感じたりします。
RUSH『Moving Pictures』
1968年にカナダで結成されたRUSH。
70年代の大作主義から80年の『Permanent Waves』では、5分以内にまとめられたシングル「The Spirit of Radio」がリリースされるなど、少しずつ路線変更も行われ、ポップながらテクニカルな演奏と複雑なリズム構成の楽曲が主流になっていきました。
続く81年の『Moving Pictures』でも「Tom Sawyer」をはじめ、全7曲のうち5曲が4分台とコンパクトにまとめられた楽曲が人気となり彼らの最大のヒット作となっています。
The Alan Parsons Project『Eye In The Sky』
ビートルズの『Abbey Road』やピンク・フロイドの『The Dark Side of the Moon』のエンジニアとして知られるアラン・パーソンズとシンガー・ソングライター/ピアニストのエリック・ウルフソンによって1975年に結成されたロジェクト。
丁寧でコンセプト感あふれる作風に定評のある彼らの 6th アルバム『Eye In The Sky』。
アルバムを通して1つの作品と感じられるところなどは先ほどの『The Dark Side of the Moon』を彷彿させます。
Foreigner『4』
ハードロック的なサウンドからAOR的なサウンドにシフトしてきた彼らが81年にリリースした 4th アルバム。
本作からのシングル「Waiting for a Girl like You」や次作からのシングル「I Want to Know What Love Is」などバラード曲がヒットしましたが、それらはもはやプログレとは無関係な気もします。
そんな彼らも、80年代後半にはバラード路線か否かでメンバー内で確執が表面化しはじめバンドの勢いは衰退していきました。